中小企業の賃上げ、価格転嫁、そして未来への対応とは？2024年、中小企業が直面する賃上げと価格転嫁の課題。

本日は、中小企業の賃上げを取り巻く現状と、持続的な成長に向けた対策について解説していきます。

2024年、賃上げの波と中小企業の苦悩

2024年、日本経済は賃上げの波に乗り、中小企業も賃上げに動いています。

しかし、大企業との格差や、賃上げ余力の問題も存在します。

お知らせ】最低賃金引き上げを受けて賃上げに取り組む皆様へ / 京丹後市商工会 WEBサイト

公開日:2024/09/25

✅ 厚生労働省と中小企業庁は、最低賃金引き上げに伴う賃上げを支援するため、助成金と補助金の活用を推奨しており、重複利用は不可であることに注意が必要です。

✅ 業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行った中小企業・小規模事業者等を対象とし、賃上げ額や労働者数に応じて助成上限額が設定されています。

✅ キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援するもので、賃金規定を改定し、基本給を3%以上賃上げした場合にも適用されます。

さらに読む ⇒京丹後市商工会 WEBサイト / 協働・共感で響きあう、まちづくりをリードする京丹後市商工会出典/画像元: https://kyotango.kyoto-fsci.or.jp/news/p10013/

中小企業向けの助成金やキャリアアップ助成金など、様々な支援策があるのは良いですね。

ただ、重複利用不可なのは、注意が必要ですね。

2024年、日本の経済は大きな転換点を迎えています。

最低賃金は過去最高の1055円に引き上げられ、春季労使交渉による賃上げ率は約30年ぶりの高水準を記録しました。

中小企業でも賃上げの動きが見られるものの、大企業との給与格差は依然として存在し、2024年にはその差が拡大傾向にあります。

中小企業の賃上げ余力は、付加価値額に占める営業純益の割合が低いことや高い労働分配率から見て、大企業と比較して厳しい状況です。

しかしながら、多くの企業が賃上げを検討しており、業績改善を主な理由としない賃上げも増加傾向にあります。

株式会社千成亭風土のように、省力化投資や価格転嫁によって収益力を高め、賃上げを実現している事例も見られます。

中小企業の現状を考えると、賃上げへの対応は喫緊の課題だね。千成亭風土のような成功事例は、大いに参考になる！

中小企業向け賃上げ促進税制と価格転嫁の重要性

中小企業向け賃上げ促進税制は、賃上げを後押しする重要な制度です。

2024年の税制改正で拡充され、利用しやすくなりました。

賃上げ促進税制とは？2024年改正で中堅・中小企業が押さえるポイントをわかりやすく解説

✅ 賃上げ促進税制は、従業員の給与を前年度より引き上げた企業に対し、増加額の一部を法人税または所得税から控除する制度で、2024年の税制改正で内容が拡充されました。

✅ 2024年改正後の必須要件として、企業規模（全企業、中堅企業、中小企業向け）が細分化され、給与等支給額の増加率と控除率が定められています。

✅ この制度の適用には、中小企業は1.5%以上の増加で15%控除、2.5%以上で30%控除、全企業向けは3%以上で10%控除など、企業規模と給与増加率に応じた要件を満たす必要があります。

さらに読む ⇒奉行シリーズのOBC - 株式会社オービックビジネスコンサルタント出典/画像元: https://www.obc.co.jp/360/list/post411

税制改正で優遇内容が拡充されたのは朗報ですね。

ただ、中小企業だけでなく、大企業も対象となる制度設計だと、より良かった気がします。

政府は中小企業の賃上げと人材育成を促進するため、賃上げ促進税制を導入しています。

2024年度の税制改正では、この制度の期限が3年間延長され、優遇内容も拡充されました。

対象となるのは、中小企業や中堅企業です。

この税制は、中小企業が賃上げを実施した場合に、法人税から一定額を控除できるというものです。

税制改正では、子育て・女性活躍支援による控除率の上乗せや、控除しきれなかった金額の繰越制度などが導入されました。

賃上げを進める上で、価格転嫁は非常に重要な要素となります。

2025年春闘での大幅な賃上げが予想される一方、中小企業は賃上げに苦戦しており、価格転嫁の促進が課題となっています。

中小企業の賃上げには、生産性向上と適切な価格転嫁が不可欠であり、特に価格転嫁はサプライチェーン全体での改善が重要です。

中小企業の賃上げ率は大企業に比べて低く、労働分配率が高いことから、コスト上昇分を取引価格に転嫁することが重要となります。

価格転嫁がうまくいけば、賃上げの原資を確保できるんだけど、なかなか難しい問題よね。サプライチェーン全体での意識改革が必要ってことかな。