世界と日本の農業遺産とは？違いをわかりやすく解説！(農業、持続可能性？)農業遺産の保護と持続可能な未来への取り組み

それでは、世界と日本の農業遺産について、詳しく見ていきましょう。

まず、農業遺産とは何か、その概要からご紹介します。

未来へ繋ぐ、持続可能な農業遺産の物語

世界農業遺産の定義や認定基準について、今一度整理しておきましょう。

世界農業遺産とは？

✅ 世界農業遺産は、FAOが認定する、伝統的な農業や生物多様性、美しい景観などが組み合わさった複合的な農業システムを指し、変化に適応しながら進化を続ける「生きている遺産」として持続的な活用を目指しています。

✅ ユネスコの世界遺産とは異なり、農業の「システム」を対象とし、農産物のブランド化やツーリズムの振興に貢献すると共に、過疎化・高齢化に悩む地域の自信と誇りを回復させ、活性化を促す効果があります。

✅ 認定には、食料と生計の保障、生物多様性、知識システム、文化、景観などが評価基準となり、FAOへの申請と現地調査を経て、原則2年に一度、GIAHS運営委員会で決定されます。

さらに読む ⇒ EICネット『エコナビ』出典/画像元: https://econavi.eic.or.jp/ecorepo/eat/361

なるほど、変化に対応しながら進化していく「生きている遺産」という点が印象的ですね。

地域の方々の知恵と努力が、未来へと繋がっていく…素晴らしいです。

世界農業遺産と日本農業遺産は、長い年月をかけて育まれた農林水産業と、それらが織りなす文化、景観、そして豊かな生物多様性を次世代へと継承するための制度です。

世界農業遺産は、FAO（国際連合食糧農業機関）が認定する国際的な制度であり、2002年に提唱され、2021年時点で世界22ヶ国62地域が認定されています。

一方、日本農業遺産は、日本の農林水産大臣が認定する制度であり、2024年1月現在、28地域が認定されています。

これらの制度は、単に過去の遺産を保護するだけでなく、変化する時代に適応し、地域経済の活性化と農業の持続可能な発展を目指しています。

これは面白い！世界遺産は、どちらかというと、保護に重きを置いているイメージがあるけど、農業遺産は、変化に対応しながら、地域を活性化させるってところが、ビジネス的にも魅力的だな！

多様な価値を評価する、日本農業遺産の認定基準

日本農業遺産の認定基準について、詳しく見ていきましょう。

岩手県 束稲山麓（たばしねさんろく）地域：農林水産省

✅ 岩手県 束稲山麓地域は、洪水害や干ばつなどの自然災害リスクを分散するため、農家が山麓地と低平地の両方に農地を分散所有する土地利用システムを構築しています。

✅ このシステムは、約300年前から行われており、ため池や森林の共同管理、神楽や例大祭などの地域コミュニティの結束力によって支えられています。

✅ 特徴的な景観は西行法師の和歌にも詠まれ、令和5年1月に日本農業遺産に認定されました。

さらに読む ⇒農林水産省ホームページ出典/画像元: https://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_3_tabashine.html

岩手県 束稲山麓地域の事例は、まさに理想的な農業の姿ですね。

自然災害のリスクを分散し、地域コミュニティが一体となって農業を支えている。

美しい景観も魅力的です。

日本農業遺産の認定は、食料と生計の保障、農業生物多様性、伝統的な知識システム、文化・価値観・社会組織、景観、変化への強靭性、多様な主体の参画、6次産業化の推進という8つの基準に基づいて行われます。

申請地域は、これらの基準を満たす農林水産業システムを保全するための計画を策定し、審査を通過する必要があります。

認定後、各地域では地域活性化や農林水産業システムの保全に向けた様々な取り組みが展開されます。

具体的には、岩手県束稲山麓地域、宮城県大崎地域、静岡県わさび栽培地域など、全国各地で多様な事例が見られます。

これらの事例は、地域固有の資源を活かし、持続可能な農業を実現するためのモデルケースとなっています。

へぇ～、土地利用システムと地域コミュニティの結束が大事ってことね。うちの近所にも、そういう場所があればいいのに。それと、何、西行法師？風流ねぇ。