NHKと民放の中継局共同利用構想はなぜ頓挫?今後の放送業界への影響は?共同利用構想の破綻と放送業界の未来
NHKと民放が共同で設立した放送インフラ子会社「日本ブロードキャストネットワーク」設立構想が、わずか数ヶ月で頓挫。役員構成を巡る対立、採算悪化、そして地方民放局の厳しい経営状況が背景に。600億円の予算を投じ、新たな支援策を模索するNHK。放送法の改正も追い風となり、民放との連携は今後どうなるのか? 放送業界の未来を揺るがす顛末に迫る。
💡 NHKと民放が中継局の共同利用を目指し、新会社設立を発表し、期待が高まった。
💡 役員構成を巡る対立により計画は暗礁に乗り上げ、新会社の設立は頓挫することになった。
💡 地方民放局の厳しい経営状況と、今後の放送業界の課題について掘り下げていく。
それでは、NHKと民放が目指した中継局共同利用構想の現状、そしてその背景にある問題点、今後の展望について詳しく見ていきましょう。
共同利用への期待と設立
NHKと民放が設立した子会社の目的は?経営効率化?
地方民放局のインフラ費用負担軽減と経営効率化。
まず、中継局共同利用構想の始まりについて説明します。
NHKと民放は、中継局の設備を共同利用する子会社を設立することで合意しました。
この構想は、民放各社の経営環境の厳しさを考慮し、中継局の設備更新にかかる負担を軽減することが目的でした。
公開日:2024/12/13

✅ NHKが申請した地上波中継局を共同利用する子会社への出資について、電波監理審議会が認める答申を出し、総務相が認可しました。
✅ 子会社の社名は「日本ブロードキャストネットワーク」で、社長にはNHK技術局の吉見智文氏が就任予定です。
✅ 民放各社の経営環境の厳しさから、中継局の設備更新にかかる負担を軽減するため、共同利用が実現することになりました。
さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/ASSDF2G26SDFUCVL01VM.html共同利用は、民放局のコスト削減に大きく貢献すると期待されていました。
特に地方局にとっては、インフラにかかる費用を抑えることが、経営を安定させる上で重要です。
しかし、その後の展開は予想外のものとなりました。
2023年8月、NHKと民放は地上波中継局の共同利用を目指し、子会社「日本ブロードキャストネットワーク」の設立を発表。
NHKは1億円を出資し、民放からの出資も募り、初代社長には吉見智文氏が就任しました。
この子会社は、地方民放局のインフラ費用負担軽減と経営効率化を目的とし、2025年末の事業本格化を目指し、設備取得計画策定や料金体系の検討など準備を進めていました。
昨年12月には、NHK、民放、総務省による「中継局共同利用推進全国協議会」が設置され、放送ネットワークの効率化に向けた検討が行われていました。
なるほど、初期段階では素晴らしいビジョンだったわけですね。コスト削減と効率化は、企業経営の基本ですから。しかし、そこからどうしてこんなことになってしまったのか、非常に興味深いですね!
役員構成を巡る対立
新会社設立、NHKと民放の対立原因は?
役員構成を巡るNHK側の提案。
次に、役員構成を巡る対立について解説します。
当初、NHKと民放の間では、民放側が役員過半数を占めることで合意していました。
しかし、NHKがNHK出身者の過半数を役員とする案を提示したことで、事態は一変しました。

✅ NHKと民放が山間地の中継局共同利用で合意していた役員構成を巡り対立。当初の合意をNHKが覆し、民放側が出資を見送る事態となっている。
✅ NHKは新会社設立と600億円の支出を表明したが、役員構成で当初、民放が過半数を占めることで合意していたのが、NHKがNHK出身者の過半数を提示し、民放が反発。
✅ 共同利用は経費削減が見込めず、総事業費は1500億円程度に膨らむ見込み。
さらに読む ⇒下野新聞 SOON(スーン)出典/画像元: https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/1188895当初の合意が覆されたことで、民放側は反発し、出資を見送る事態に。
この対立は、共同利用の前提が崩れたことを意味し、その後の計画に大きな影響を与えました。
まるで、最初から足並みが揃っていなかったような印象を受けますね。
しかし、設立から間もなく、計画に暗雲が立ち込めます。
新会社の役員構成を巡り、NHKと民放の間に対立が発生したのです。
当初、民放が役員過半数を占める合意があったものの、NHKがNHK出身者の過半数を役員とする案を提示。
これに対し、民放側は反発し、民放キー局5社の出資が見通せなくなる事態となりました。
まぁ、よくある話といえばそうだけど…結局、利権争いってこと?NHKさんの出方、ちょっと強引だったんでないかい?当初の約束とは違うんでしょ?ずるいなぁ。
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NHKの子会社運営断念。物価高騰で600億円計画が頓挫!地方民放の厳しい経営を背景に、新たな支援策を模索。二元体制維持へ、NHKと民放が協議。