テート・ギャラリーの未来戦略:財政危機からの脱却と持続可能な運営への挑戦?コロナ禍、資金調達、多様な視点、施設の再構築
コロナ禍で財政危機に陥ったテート美術館。120名の人員削減という苦渋の決断を下し、1億5000万ポンドの基金「TateFutureFund」を設立し、寄付による資金調達を開始。学術研究支援や多様なキュレーター採用を通じて、アート解釈の多様性を追求。先住民族や生態学の専門家を迎え、新たな視点を提示。一方で、施設の再構築も進め、アートを通じた持続可能な未来を目指す。
💡 コロナ禍による財政危機から脱却するため、テート・ギャラリーは人員削減や運営費削減を実施。
💡 新たな資金調達として、寄付を中心とした大規模基金「TateFutureFund」を設立し、運営基盤を強化。
💡 キュレーターの多様化を図り、先住民族アートや生態学の専門家を採用し、新たな視点を提示。
今回は、イギリスのテート・ギャラリーの現状と、その未来に向けた取り組みについて、多角的に見ていきましょう。
激動の時代:コロナ禍と組織再編
テート美術館、コロナで財政危機!何人解雇された?
約120名のスタッフが解雇。
新型コロナウイルスの影響で、テート・ギャラリーは深刻な財政危機に直面しました。
人員削減や施設閉鎖を余儀なくされ、運営は大きな打撃を受けました。

✅ コロナ禍で人員削減を行った企業の6割以上が、現在人手不足の状態になっている。
✅ 特に、宿泊・飲食サービスや小売業などのサービス業で人手不足が深刻化しており、業績回復の足かせになる懸念がある。
✅ 人手不足の背景には、経済活動の再開やインバウンド需要の回復がある一方で、一度削減した人員を再び確保することが難しい状況がある。
さらに読む ⇒東京商工リサーチ出典/画像元: https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197746_1527.html人手不足は、他業種でも深刻ですが、テートのような組織でも起こり得るのですね。
収益の減少と人件費削減の板挟み、大変だったと思います。
イギリスの美術館運営団体テートは、新型コロナウイルスの影響を受け、深刻な財政危機に直面しました。
今年約6ヶ月間閉鎖された4館は、再開後の来場者数が激減し、収益も大幅に減少。
この状況に対応するため、テートは従業員の12%にあたる約120名のスタッフ解雇を発表しました。
これは、自主退職や早期退職、労働時間の短縮、休職などのスキームによって進められましたが、2021年には強制的な解雇も検討されました。
商業部門であるテート・エンタープライズも、既に217人のスタッフを解雇。
テートは、運営予算や役員報酬の削減、オンライン販売の拡大などの対策も講じましたが、財政難は深刻さを増しました。
これらの人員削減は、世界的な不況による運営コスト削減の必要性に対応するためであり、テートは、画期的なプログラムの継続提供、コレクションの構築と共有、次世代の才能への刺激を目指しました。
なるほど。世界的な不況下で、組織の構造改革は避けて通れない道ですよね。テートも例外ではない。経営判断としては当然です。しかし、一度削減した人員を確保するのは容易ではない。これは、人手不足が深刻化している現代社会の課題そのものですね。
未来への投資:新たな資金調達と構造改革
テート、297億円の基金設立!何のため?
学術支援とキュレーター職の恒久的支援。
テート・ギャラリーは、財政難からの脱却を図るため、新たな資金調達に乗り出しました。
寄付を中心とした大規模基金を設立し、長期的な運営基盤の構築を目指しています。
公開日:2025/04/13

✅ ICCサミットFUKUOKA 2025のカタパルトで2位に入賞したAlumnote中沢冬芽氏のプレゼン動画の文字起こしが公開され、寄付を集める仕組みで大学の経営資金を支える取り組みが紹介されています。
✅ ICCサミットは、参加者が学び合い交流する場で、次回のKYOTO 2025は2025年9月1日〜4日に開催予定です。
✅ Alumnoteは、大学の寄付収入に着目し、慶應義塾大学のような強力なOB・OG組織を他の大学でも構築することで、大学の資金調達を支援することを目指しています。
さらに読む ⇒【ICC】INDUSTRY CO-CREATION | ともに学び、ともに産業を創る。出典/画像元: https://industry-co-creation.com/catapult/110852大学の寄付を集める仕組みを参考に、テート・ギャラリーも基金を立ち上げたのですね。
長期的な視点での資金確保は、安定した運営には不可欠です。
テートは、コロナ禍からの赤字解消だけでなく、長期的な運営基盤の構築を目指し、新たな資金調達プロジェクトを開始しました。
その柱となるのが、1億5000万ポンド(約297億円)規模を目指す基金「TateFutureFund」の設立です。
これは、政府助成金や事業収入に次ぐ、寄付を主とする第4の資金源として位置づけられました。
この基金は、学術研究の継続的な支援や、キュレーター職の恒久的な支援を目的としており、既に4300万ポンド以上の資金が集まっています。
寄付者には、理事会メンバーや、ブルームバーグ・フィランソロピーズ、コレクターなどが名を連ねています。
この動きに対しては、民間資金への依存度を高めることへの賛否両論や倫理的な懸念も存在しますが、テートは倫理委員会が定める原則に従い、公共の利益になるのであれば寄付を受け入れる姿勢です。
寄付に頼るというのは、ある意味、組織の透明性が問われることにも繋がると思います。倫理的な問題にも配慮しつつ、公共の利益のために動くという姿勢は重要ですね。テートの今後の動向に注目しましょう。
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テート・ギャラリーがキュレーターに多様な専門家を迎え、美術解釈を革新! 環境問題や先住民族アートへの視点を加え、アートの未来を拓く。