ブラジル経済、コロナ禍からの回復は?インフレ再燃と将来への展望(?)ブラジル経済の現状:インフレ、成長鈍化、そして将来への課題
ブラジル経済、コロナ禍と政治的混乱を乗り越え、3年ぶりの高成長を達成。しかし、インフレ再燃と金利上昇が内需を圧迫し、成長の鈍化が懸念される。2024年には成長率が鈍化し、2025年には高インフレリスクも。世界経済の不透明感と国内の課題が混在する中、ブラジル経済の未来は試練に直面している。
💡 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる経済への影響と、政府の対策。
💡 感染拡大と政治的混乱がブラジル経済に与えた影響と、その対応について。
💡 景気回復の模索と新たな課題、経済成長の鈍化とインフレ再燃、今後の見通し。
本日は、ブラジル経済の現状と将来の見通しについて、主要なポイントをわかりやすく解説していきます。
コロナ禍の始まりと経済対策
ブラジル経済、コロナ禍でどう変化? 対策と経済指標の動向は?
景気支援策と金融緩和で底割れ回避目指す。指標は変動。
ブラジル経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックと、政府の経済対策により大きく変動しました。
感染拡大と経済活動の制限、その後の経済対策について見ていきましょう。

✅ ブラジルでは新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にあるものの、ワクチン接種の進展と経済活動優先の姿勢がみられる。
✅ 水力発電への依存と原油高の影響でインフレが加速し、中央銀行による利上げも行われているが、レアル安も重なり物価高と金利高の共存が景気に悪影響を及ぼす懸念がある。
✅ 次期大統領選を控え、ボルソナロ大統領は再選を目指しているが、ワクチン調達を巡る疑惑や政権支持率の低下など、政治的な不透明さが増している。
さらに読む ⇒第一生命経済研究所TOPページ出典/画像元: https://www.dlri.co.jp/report/macro/172742.htmlブラジル中銀の金融緩和策や政府の財政支援策によって、経済の底割れは回避されましたが、今後はインフレとレアル安が懸念されますね。
2020年4月、ブラジルは新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、爆発的な感染者の増加か終息に向かうかの分岐点に立っていました。
政府は国境封鎖や経済活動の制限策を打ち出し、2020年の実質GDPはマイナス成長となる公算が高まりました。
非常事態宣言の発令により、政府は機動的な財政運営を可能とし、経済相はGDP比10%規模の景気支援策を発表しました。
具体的には、経済弱者対策、雇用維持対策、医療支援、地方政府への財政支援などが行われています。
ブラジル中銀も、政策金利の引き下げや預金準備率の引き下げなど、2008年の金融危機を上回る規模の流動性供給策を実施し、金融機関の貸し出しを支援しています。
4月2日の時点では、これらの財政・金融政策によって、ブラジル経済の大幅な底割れを回避できるかが今後の焦点となっていました。
6月には、新型コロナウイルスの影響を強く受け、様々な経済指標に変動が見られました。
貿易収支は黒字を維持し、輸出額は減少したものの、輸入額が大幅に減少したため、黒字額は増加しました。
物価は2ヶ月連続でマイナスとなり、特に外出規制の影響で、飲食料品の値動きが特徴的でした。
政策金利Selicは追加で0.25%引き下げられ、史上最低水準を更新しましたが、利下げ幅は縮小する見通し。
為替市場では、コロナ禍や政治的混乱によりレアル安が進み、ドル高傾向が強まりました。
株式市場は、米中対立や抗議デモなどの懸念材料はあるものの、経済活動再開への期待感からある程度の回復傾向を示しました。
今回の記事は、ブラジル経済の現状を的確に捉えていて、非常に勉強になりますね。政府の対策が、いかに経済に影響を与えるか、よく分かります。今後の経済動向にも注目したいところです。
感染拡大と政治的混乱
ブラジル、コロナ禍での対立と混乱。何が問題だった?
大統領と地方政府の対立と社会の分断。
新型コロナウイルスの感染拡大は、ブラジル国内で深刻な状況を招きました。
政治的な混乱も加わり、経済への影響はさらに大きくなりました。
詳細を見ていきましょう。
公開日:2020/03/27

✅ ブラジルで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ボルソナロ大統領はウイルスの危険性を軽視しており、自治体の予防措置を批判している。
✅ 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、ボルソナロ氏の姿勢に対し苦言を呈している。
✅ ブラジルでは医療崩壊が危惧されており、保健相は4月末に崩壊が始まると警告している。
さらに読む ⇒ニュースサイト出典/画像元: https://mainichi.jp/articles/20200327/k00/00m/030/002000cボルソナロ大統領の対応への批判も多かったけど、州政府が主体となって対策をしていたんですね。
政治的な混乱は、経済に悪影響を与える典型的な例ですね。
2020年11月には、新型コロナウイルスの累計感染者数が世界第3位の565万3561人に達しましたが、人口100万人当たりの感染者数では世界16位であり、人口が多いことが感染者数の絶対数を多くしている要因の一つと考えられました。
ジャイール・ボルソナーロ大統領の対応が批判されることが多かったものの、実際には州政府が主体となって感染防止対策を決定・実施しており、連邦政府が大統領令で対策を指示できる範囲は限定的でした。
サンパウロ州やリオデジャネイロ州をはじめ、各州が独自に感染状況に応じた行動制限などを行う感染警報システムを導入していました。
世論調査でも、感染拡大の責任がボルソナーロ大統領にあるとする意見は少数派でした。
新型コロナウイルス感染症対策として、医薬品や医療資器材の輸入・流通に関する規制緩和が行われ、ワクチンの早期供給に向けた取り組みも進められていました。
2021年10月には、ボルソナロ大統領の経済優先の姿勢と、地方政府の感染対策の対立が混乱を招き、感染拡大の一因となったと分析されました。
連邦議会上院の調査委員会は、大統領を含む政府高官の責任を追及し、訴追を勧告しました。
来年の大統領選を控え、野党支持者による反政府デモと大統領支持者のデモが対立し、社会の分断が深刻化していました。
政治的混乱への懸念から金融市場は弱含み、インフレも加速し、中央銀行は金融引き締めを余儀なくされました。
一方、国際商品市況の上昇はプラス材料でしたが、中国経済の減速懸念など逆風も存在し、主要株式指数は調整局面に入りました。
ほんと、状況が二転三転して大変だったんですね。でも、大統領の責任だけじゃなくて、州政府も頑張ってたってのは、初めて知ったわ。北海道も他人事じゃないわね。
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2022年ブラジル経済はコロナ、干ばつで苦戦。その後回復も、インフレ再燃で利上げ。2023年は3.4%成長も減速、2024年は1.9%予想。IMFは2025年成長率下方修正、インフレ懸念も。