OPECプラスの揺らぎ:ロシアと原油価格の行方は?協調減産から増産へ、そして価格上限と制裁の影響
2020年の原油価格暴落を受け、OPECプラスは史上最大規模の減産で合意。しかし、ロシアは減産目標達成に苦戦し、制裁の影響も。2024年には増産で合意するも、中国経済の減速や地政学リスクが影を落とす。サウジアラビアの市場シェア拡大戦略と、加盟国の思惑が交錯し、OPECプラスは価格維持と結束の間で揺れ動く。原油価格の行方は?
💡 ロシアとOPECプラスの減産と増産の歴史と現状を解説
💡 原油価格の上昇と価格上限、制裁による影響について解説
💡 今後のOPECプラスの動向と原油価格の行方について解説
それでは、まずロシアの減産に関する詳細から見ていきましょう。
協調減産の始まりとロシアの苦悩
史上最大の減産!ロシアの原油削減、なぜ難しかった?
インフラ、コロナ、販売契約…課題山積だった。
ロシアによる減産は、さまざまな課題に直面しながらも、政府の支援や技術的な工夫によって進められました。

✅ OPECプラスの協調減産合意に基づき、ロシアは日量163万〜174万バレルの能動的減産を実施。これは、過去の「受動的」減産を除けば史上最大規模。
✅ ロシアは、生産調整が困難な石油生産体制でありながら、減産を達成するため、生産再開が容易な井戸を減産対象とし、井戸の維持・改修や中性流体による養生など様々な方法を講じている。
✅ 減産によるネガティブな影響を軽減するため、政府は油田サービス会社への支援や予備坑井の掘削を提案。さらに、石油備蓄の創設も検討されており、ロシアの石油産業の柔軟性向上を目指している。
さらに読む ⇒プロジェクト トップページ出典/画像元: https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1008604/1008781.html減産目標達成は容易ではなかったんですね。
生産体制やインフラの問題、井戸の損傷リスク、さらには新型コロナウイルスの影響もあったとは。
2020年、OPECプラスは原油価格の暴落を受け、史上最大規模の日量970万バレルの減産で合意しました。
しかし、G20諸国からの具体的な参加は見られず、減産の焦点はOPECプラスの加盟国に移りました。
特に、ロシアは日量250万バレルの削減義務を負うことになりましたが、コンデンセートの除外という特例が認められたため、実質的な削減量は日量163万〜174万バレルにとどまりました。
この削減はロシアの総生産量の約15%に相当し、その生産体制やインフラの問題から、目標達成は容易ではありませんでした。
古い油井での生産調整の難しさ、井戸の損傷リスク、そして新型コロナウイルスの影響による現場の混乱が、減産の足かせとなりました。
さらに、一部の企業は既に5月の原油販売を成約しており、減産の実行を困難にしました。
この減産は、2020年5月から段階的に実施されましたが、その実現には不透明感が漂っていました。
ふむ、ロシアの減産は、色んな苦労があったわけだ。まるで、会社経営みたいだな。コストカット、設備投資、人材育成… まさに経営の縮図!
価格上限と制裁の影響
ロシア産原油の価格上限、違反したらどうなる?
二次制裁が拡大する可能性。
価格上限と制裁は、ロシアの原油輸出に大きな影響を与えました。
特に、価格上限の遵守は今後の課題と言えるでしょう。
公開日:2023/11/13

✅ 米財務省は、価格上限に違反した疑いのある約100隻の船舶に関する情報を船舶管理会社に要求した。
✅ この通知は、G7などが課したロシア産原油の価格上限(1バレル=60ドル)を遵守させるためのもので、約30カ国の船舶管理会社に送付された。
✅ 米国は、価格上限を上回るロシア産原油を輸送したタンカー2隻の船主に制裁を科しており、価格上限の実効性確保に向けた措置を取っている。
さらに読む ⇒ロイター | 経済、株価、ビジネス、国際、政治ニュース出典/画像元: https://jp.reuters.com/world/security/LMH32P3M2NKGPISDBQLE7O3OXI-2023-11-13/価格上限遵守のため、厳しい対応が取られているんですね。
制裁リスクを避けるため、アジア向けのディスカウント幅が縮小している点も興味深いですね。
G7によるロシア産原油への価格上限設定(60ドル/バレル)が2022年12月5日に発効し、ロシア産原油はディスカウントされて取引されるようになりました。
しかし、中国などアジア地域への輸出ではディスカウント幅が縮小傾向にあり、米国財務省は価格上限違反の可能性を警告しています。
ロシア産原油の輸出は、欧州向けの西方フローとアジア太平洋向けの東方フローに分けられ、東方フローは輸送距離が短く制裁リスクが低いため、ディスカウント幅が縮小しています。
米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、東方フローにおける価格上限超過の可能性を警告し、二次制裁への拡大懸念も高まっています。
ロシアはこれに対抗し、3月から日量50万バレルの減産を実施しました。
減産とOPECプラスの減産が相まって、原油価格が急上昇した場合、米国を中心に二次制裁が拡大する可能性も考えられます。
へー、価格上限なんてものが原油の取引にあるんだね。世界情勢って、ほんと複雑だわ。でも、ロシアは減産してる場合じゃないんじゃない?
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OPECプラス、増産で揺れる!減産延長も、中国・中東情勢で価格維持に苦戦。サウジとロシアの思惑、市場シェア争いも勃発。原油価格の行方は?