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芥川賞受賞作『DTOPIA』とは?安堂ホセ氏の作品世界を紐解く(?)『DTOPIA』が描く現代社会と多様性

第172回芥川賞受賞作『DTOPIA』は、2024年のボラ・ボラ島を舞台に、恋愛リアリティショーを通して現代社会の闇をえぐる。白人女性を巡る人間模様、謎の人物「Mr.東京」、そして現実を織り交ぜた物語は、ウクライナ、パレスチナなどの問題をリズミカルに描き出す。加害者と被害者の境界を揺るがし、ノンバイナリーのモモを通して暴力や世界のあり方を問う。圧倒的な表現力で、読者に強烈な問いを突きつける問題作。

芥川賞受賞作『DTOPIA』とは?安堂ホセ氏の作品世界を紐解く(?)『DTOPIA』が描く現代社会と多様性

📘 この記事で分かる事!

💡 芥川賞受賞作『DTOPIA』は、恋愛リアリティショーを舞台に、現代社会のジェンダー、セクシュアリティ、人種問題を描く。

💡 作者・安堂ホセ氏は、現実の出来事とフィクションを融合させ、多様なテーマをリズミカルな文体で表現。

💡 ノンバイナリーの登場人物モモを通して、表現の多様性と、社会におけるマイノリティの視点を描く。

それでは、芥川賞受賞作『DTOPIA』について、さらに詳しく見ていきましょう。

まずは、物語の舞台設定と、その背景にあるテーマについてご紹介します。

現実とフィクションの融合

芥川賞受賞『DTOPIA』、どんな物語?

恋愛リアリティショーで現代社会を描く。

芥川賞受賞作『DTOPIA』は、恋愛リアリティショーを舞台に、現代社会の様々な問題を描いています。

ジェンダー、セクシュアリティ、人種といったテーマが、南太平洋のボラボラ島を舞台に、10人の男性と1人の白人女性を通して描かれています。

祝! 本日発表〉安堂ホセ『DTOPIA(デートピア)』が第172回芥川賞を受賞!
祝! 本日発表〉安堂ホセ『DTOPIA(デートピア)』が第172回芥川賞を受賞!

✅ 安堂ホセ著『DTOPIA』が第172回芥川龍之介賞を受賞しました。本作は恋愛リアリティショーを舞台に、ジェンダー、セクシュアリティ、人種などに対する暴力や欺瞞を描いた作品です。

✅ 『DTOPIA』は、南太平洋のボラボラ島を舞台に、白人女性を巡って10人の男性が競い合う様子を、40台のカメラで撮影された映像を通して描いています。

✅ 本作は、著者にとって3作連続の芥川賞候補作であり、2025年1月26日には刊行記念のトークイベントが開催される予定です。

さらに読む ⇒PR TIMES|プレスリリース・ニュースリリースNo.1配信サービス出典/画像元: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000863.000012754.html

芥川賞受賞作『DTOPIA』は、現代社会が抱える問題を鋭く描き出していますね。

恋愛リアリティショーという設定も、現代的で興味深いです。

現実とフィクションの融合という点が、作品の魅力の一つだと思います。

第172回芥川賞を受賞した安堂ホセ氏の『DTOPIA』は、現実とフィクションを巧みに融合させた作品です。

その物語は、2024年のボラ・ボラ島を舞台とし恋愛リアリティショーを通して現代社会が抱える様々な問題を浮き彫りにしていきます。

作中では、一人の白人女性を巡る十人の男たちの人間模様、画面越しの視聴者の視点、そして「Mr.東京」と呼ばれる謎の人物が描かれていきます。

作者は、物語の着想を現実の出来事やその組み合わせから得ており、パレスチナでの虐殺やアカデミー賞といった現実の出来事を物語に織り交ぜることで、作品に深みを与えています。

なるほど、恋愛リアリティショーを舞台に、現代社会の問題を炙り出すとは、面白い試みだな。ボラボラ島っていうのも、いかにも金がかかってそうな設定で、ミリオネアの俺好みだ。

現代社会のテーマと物語の軸

境界を揺るがす問題作!テーマは?

現代的な多様なテーマをリズミカルに描く

本作は、現代社会における差別問題をテーマに、潜入や虚構性をエンタメ性豊かに描いています。

映画好きの作者が、アラン・J・パクラ監督作品から影響を受けているというのも、作品に深みを与えていると感じます。

安堂ホセ氏「差別や抑圧の構造に共通するつらさや楽しいこともある感じを書きたかった」
安堂ホセ氏「差別や抑圧の構造に共通するつらさや楽しいこともある感じを書きたかった」

✅ 安堂ホセ氏の小説は、潜入や虚構性といった要素をエンタメ性豊かに描くことを目指しており、現代社会における差別の問題をテーマにしている。

✅ 作者は映画好きであり、特にアラン・J・パクラ監督作品から影響を受けている。小説では、性別や人種に関わらず、登場人物の「生きている」という手触りを表現することを重視している。

✅ 安堂ホセ氏は文藝賞を受賞しデビュー。元々映画制作も行っていたが、現在は小説家として活動しており、川上未映子、金原ひとみ、桐野夏生など女性作家の作品を愛読している。

さらに読む ⇒NEWSポストセブン出典/画像元: https://www.news-postseven.com/archives/20221209_1819294.html/3

ウクライナ、パレスチナ、スーダン…様々な問題が語られてますが、まるで現代社会の縮図みたいな作品ですね。

個人的には、多様なテーマをリズミカルな文体で表現している点に、とても興味を惹かれました。

本作は、加害者と被害者の境界を曖昧にし、ウクライナ、パレスチナ、スーダン、入管問題、レイシズム、植民地主義、資本主義、トランス差別、セクシュアリティといった現代的なテーマを、リズミカルな文体で描き出しています

物語の語り手「私」と幼馴染のポリネシア系ミックス「モモ」の過去の暴力、そして「暴力から暴とれないか」という問いかけが重要なテーマとして描かれます。

安堂氏は、これまでマイノリティを主人公にした作品を発表してきましたが、今回は特定の属性に焦点を当てるのではなく、状況そのものをインターセクショナルにした、賑やかな小説を書きたいと考えました。

まー、色んな問題が盛り込まれてるけど、結局は人間模様を描いた作品ってことだよね?難しいことはよく分からんけど、登場人物の『生きている』って手触りを表現してるってのは、ちょっと興味あるなー

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ノンバイナリーのモモを通して、世界の暴力と向き合う物語。多様な表現で、私たちに問いを投げかける。安堂ホセの芥川賞受賞作。