農林中金の巨額赤字問題：金融機関とJAグループへの影響は？農林中金、米国債運用失敗で巨額赤字へ

それでは、農林中金の巨額赤字問題について、詳しく見ていきましょう。

まずは、その始まりとなった事象から解説していきます。

嵐の前の静けさ：巨額赤字への序章

農林中金が巨額赤字に陥った背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。

農林中金：農林中金、外債頼みアダ 米金利高止まり響き赤字1．5兆円

公開日:2024/07/25

✅ 農林中央金庫（農林中金）が資金運用に失敗し、2025年3月期の最終赤字が1.5兆円規模に拡大する見込みである。

✅ 奥和登理事長は巨額赤字について謝罪し、報酬3割削減と今年度の出資者への配当見送りを決定した。

✅ 農林中金はJAなどから預金を集め、債券などに投資して運用益を配当として還元する金融機関であり、今回の赤字拡大にはJAの課題も背景にある。

さらに読む ⇒ニュースサイト出典/画像元: https://mainichi.jp/articles/20240725/ddm/008/020/103000c

農林中金の巨額赤字は、金融機関のリスク管理の甘さを露呈しました。

JAグループの経営を圧迫し、農業金融の将来に暗雲が立ち込めています。

長年にわたりJA（農業協同組合）から預金を集め、農業関連事業を支える役割を担ってきた農林中央金庫（農林中金）。

その安定した金融基盤は、2024年、米国金利の上昇という予期せぬ嵐に見舞われることになります。

農林中金は、外債運用、特に米国債への過度な依存による金利変動リスクへの対応の遅れから、過去最大の1.8兆円の巨額赤字を計上。

リーマンショック時の損失を大きく上回る規模となり、金融機関のリスク管理の甘さが露呈することとなりました。

この事態は、JAグループの経営を圧迫し、農業金融の将来に暗雲を投げかけることとなります。

今回の農林中金の巨額赤字は、まさに『嵐の前の静けさ』からの転落劇だね。リスク管理の甘さが露呈した結果、JAグループ全体に影響が及ぶとは、経営者として見過ごせない問題だ。

転落の淵：外債運用の落とし穴

農林中金が抱える問題は、外債運用におけるリスク管理の甘さに起因します。

農林中金、1.2兆円の資本増強検討 「米国債頼み」が裏目に：朝日新聞

公開日:2024/05/23

✅ 農林中央金庫は、海外金利上昇による保有債券の巨額含み損を計上するため、2025年3月期の純損益が5千億円超の赤字となる見通しを発表しました。

✅ 2024年3月期決算では、円安と有価証券売却益により純利益は増加しましたが、金利上昇で債券の含み損が2兆円超に達しました。

✅ 財務基盤を強化するため、1.2兆円規模の資本増強を検討しており、JAグループとの協議を開始しています。

さらに読む ⇒朝日新聞デジタル：朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/ASS5Q42K3S5QULFA009M.html

農林中金の巨額損失は、米国債への過度な依存とリスク管理の怠慢が原因です。

JAグループの政治力や農協の歴史的背景も影響しています。

事態は、なぜここまで深刻化したのでしょうか。

農林中金は、長らく金融庁から外債への依存度を指摘されていたにもかかわらず、米国債への投資拡大を続け、リスク管理体制の強化を怠りました。

2024年9月の中間決算では、8939億円の赤字を計上。

これは、米国金利の上昇による保有米国債の価値下落が主な原因でした。

債券価格の下落への対応も遅れ、含み損が確定損失へと転じ、巨額の損失を計上することになりました。

この背景には、JAグループの政治力と資金力、そして、戦前の農会と産業組合にルーツを持つ、農協の歴史的背景が影響していると指摘されています。

JAバンクからの資金調達という特殊な事情も、損失拡大の一因となりました。

ほんとに、なんでこんな事が起きたんだべか。外債への依存度、金融庁から指摘されとったんでしょ？リスク管理ってほんっと大事だよね。農協の歴史的背景とかも影響してるって、複雑だわ。