労働分配率は本当に上がっているのか?春闘の成果とは!?
春闘で賃上げ率3.58%達成!1993年以来の高水準だが、労働分配率は低下傾向?長期的な賃金と生産性の関係を分析し、日本の雇用システムの課題を探る!
💡 2024年の春闘は、33年ぶりの高水準となる賃上げ率を達成しました。
💡 賃上げの背景には、大企業の業績回復や人材不足などが挙げられます。
💡 労働分配率の改善は、日本の経済活性化に不可欠です。
それでは、まず春闘の成果について詳しく見ていきましょう。
春闘の成果と労働分配率の課題
春闘は賃上げ率が高水準だが、何が懸念される?
労働分配率低下
春闘の成果は素晴らしいですね。

✅ 2024年の春闘では、賃上げ率が5%を超え、33年ぶりの高水準となった。これは、大企業の業績回復、人材不足による人材獲得競争、人的資本経営への意識の高まりなどが背景にある。
✅ 賃上げの継続と中小企業への波及が課題となる。中小企業は人件費比率が高いため、価格転嫁が難しく、賃上げが困難な状況にある。政府による支援策や大企業による協力が必要となる。
✅ 賃上げが持続するためには、賃金の上昇が消費に繋がり、企業が新たな価値を生み出すイノベーションを起こす必要がある。日本の企業はイノベーションが弱いため、今回の賃上げを機に、人材育成とイノベーションに積極的に取り組むことが重要となる。
さらに読む ⇒TBS NEWS DIG出典/画像元: https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1062853?page=2しかし、中小企業への波及が課題となるとのこと、今後の動向が気になります。
2023年の春闘は、連合の集計結果で3.58%の賃上げ率を達成し、1993年以来の高水準となりました。
これは、消費者物価上昇率を上回る実質賃金の上昇が見込まれる結果です。
しかし、マクロ的な視点で見ると、労働分配率は低下する可能性が高いことが懸念されます。
ベースアップ分は2.12%にとどまり、雇用者報酬の伸びは2.6%程度と予測されます。
一方、国民所得の伸びは5.1%程度と見込まれており、労働分配率は低下すると予想されます。
これは、景気拡張局面では、雇用者数と賃金が増加しても、国民所得の伸びに追い付かず、労働分配率が低下する傾向があるためです。
長期的に見ると、日本の雇用システムが終身雇用と年功型賃金であるため、景気後退局面よりも景気拡張局面の方が長期にわたるため、労働分配率の低下局面が上昇局面を上回り、国民所得を下回る雇用者報酬の伸びしか実現できません。
いやー、素晴らしい!やっぱり日本の企業は底力があるんだな。
春闘の歴史と労働分配率
春闘は日本の経済にどう影響を与えてきた?
高度成長を支え、今は賃金抑制に
春闘の歴史を振り返ると、賃金と労働分配率の関係が見えてきますね。
公開日:2025/02/12

✅ 日本の労働分配率は、1996年から2000年の平均ではOECD諸国の中で上位に位置していましたが、2016年から2020年の平均では大幅に低下し、主要先進国に後れを取っています。
✅ 特に大企業においては、利益に対する従業員の取り分が小さくなっており、労働分配率の低下が目立っています。
✅ 労働分配率の低下の原因として、人件費の上昇がGDPの成長率を下回っていることや、大企業が利益を独占的に積み上げていることが指摘されています。
さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/AST2B4TW2T2BULFA00VM.html労働分配率の低下は、日本の経済成長の持続可能性に影響を与える可能性があります。
春闘の歴史は、高度成長期に企業収益が伸びていた時期に始まり、賃上げが家計消費の増加をもたらし、高度成長を支えていました。
しかし、第1次石油危機以降は、賃金抑制が求められるようになり、春闘賃上げ率は低下しました。
春闘方式は、企業単位の交渉をベースにしながら、マクロ経済的な影響にも配慮した賃上げを実現する労使間の集団的交渉方式として、OECDからも注目されています。
うん、確かにな。春闘の歴史を振り返ると、日本の経済状況が如実に表れてるよね。
労働分配率とは?
労働分配率は、企業の何を示す指標?
収益分配の状況
労働分配率は、企業の収益分配の状況を表す重要な指標ですね。

✅ 労働分配率とは、企業が新たに生み出した付加価値をどれだけ人件費に分配したかを表す指標です。これは、人件費を売上総利益で割ることで計算されます。
✅ 労働分配率は全業種中央値で25.5%となっており、労働集約型企業や創業間もない企業では特に高くなる傾向があります。
✅ 労働分配率の改善には、従業員の年間給与額を増やすことや、利益剰余金を増やし人件費を増やす余力を作るなどの方法があります。
さらに読む ⇒ザイマニ出典/画像元: https://zaimani.com/financial-indicators/labor-distribution-ratio/労働分配率の改善には、人材への投資や利益剰余金の使い方などが重要になってきます。
労働分配率は、企業の収益から労働への対価(人件費)がどの程度支払われているかを示す経営指標です。
売上総利益(粗利)に対する人件費の比率で計算され、社員への収益還元度や人件費の適正性を評価するのに役立ちます。
労働分配率は、企業の人的投下構造も明らかにします。
労働分配率が高い企業は、労働集約型で人材への投資が大きいです。
逆に、労働分配率が低い企業は、資本集約型で人材への投資が小さい傾向があります。
中小企業における労働分配率の適正水準は、業種によって異なりますが、概ね30%~70%の範囲内です。
労働分配率を計算し、適正水準と比較することで、自社の労働分配率が適正であるかを判断できます。
へぇー、労働分配率ってそんな意味があるんだね。知らなかったわ。
業種別の労働分配率
労働分配率は業種によってどう違う?
人材投資型が高い、設備投資型が低い
業種によって労働分配率が大きく異なるのは興味深いですね。
公開日:2022/04/22

✅ この記事は、労働分配率とは何か、計算方法、目安となる業種別ランキング、労働分配率が高い場合と低い場合のそれぞれの特徴や対処方法について解説しています。
✅ 労働分配率は、人件費を付加価値で割って計算され、企業が従業員にどの程度の利益を還元しているかを示す指標です。
✅ 記事では、2020年度の経済産業省発表のデータに基づき、製造業、情報通信業、卸売業、小売業、生活関連サービス業、飲食サービス業、学術研究、専門・技術サービス業の労働分配率が紹介されており、それぞれの業種の特徴と労働分配率の関係について考察しています。
さらに読む ⇒経理プラス出典/画像元: https://keiriplus.jp/tips/roudoubunpairitsu/労働分配率の分析は、企業の経営戦略を考える上で役立ちます。
労働分配率が高い業種には、コールセンターなど人材への投資が大きい業種があります。
一方、製造業や美容サロンなど、設備投資が大きい資本集約型の業種では、労働分配率が低くなる傾向があります。
スーパーや飲食店など、労働集約型と資本集約型のバランスがとれた業種では、労働分配率は標準的な水準になります。
労働分配率は、人件費の適正化や経営戦略の策定に役立つ重要な指標です。
自社の労働分配率を分析し、経営状況や業界動向に合わせて適切な人材戦略を立てることが重要です。
なるほど、業種によって労働分配率が違うのか。勉強になるなぁ。
日本の賃金と生産性の長期的な関係
なぜ日本の賃金は生産性ほど上がっていない?
生産性との乖離が拡大
日本の賃金と生産性の関係は、長期的な視点で見ていく必要があります。
公開日:2022/12/12

✅ 2023年の日本経済は、名目賃金は上昇するものの、物価上昇に追い付かず、実質賃金の減少が続くと予測されています。
✅ 賃金上昇の要因としては、労働需給の逼迫による賃上げと、春闘での賃上げ交渉がありますが、企業の労働分配率が低く、交易条件が悪化しているため実質賃金上昇は難しい状況です。
✅ 労働生産性はOECD諸国と比較して低くはないものの、企業の利益水準の高さと、円安・資源価格高騰による交易条件の悪化が、実質賃金の上昇を妨げている要因となっています。
さらに読む ⇒週刊エコノミスト Online出典/画像元: https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221220/se1/00m/020/058000c賃金の伸びが生産性を下回る状況は、日本経済の課題と言えるでしょう。
本章では、日本の賃金の長期的な推移について、生産性の伸びとの関連を分析します。
特に、1996年以降の生産性、賃金、労働分配率の動向を他の先進国と比較し、賃金が生産性ほど増加していない背景を考察します。
1970年代から1990年代前半までは、名目生産性と名目賃金がほぼ連動していましたが、1990年代後半以降は、名目賃金の伸びが鈍化し、生産性との乖離が顕著になりました。
この背景として、バブル崩壊後の経済停滞、高齢化に伴う労働分配率の上昇、企業の財務体質強化への意識、雇用情勢の悪化、そしてデフレ脱却に向けた政府の取り組み等が挙げられます。
当時の労働省・厚生労働省は、物価上昇、企業の人件費負担、経済の安定成長、雇用不安定、そして消費の停滞など、それぞれの時代の状況を踏まえ、賃金と雇用に関する様々な課題を指摘していました。
2010年代に入ると、デフレ脱却に向けた取り組みが強化され、雇用情勢は改善しましたが、賃金が生産性との連動性を失ったことが大きな問題となりました。
本章では、これらの歴史的な背景を踏まえつつ、日本の賃金が生産性ほど増加していない要因について、詳細に分析していきます。
うん、やっぱり賃金と生産性の関係は重要だよね。
労働分配率の改善は、日本の経済活性化にとって重要な課題です。
💡 2024年の春闘では賃上げ率が33年ぶりの高水準となりました。
💡 しかし、中小企業への波及が課題となるなど、労働分配率の改善には更なる取り組みが必要です。
💡 労働分配率は、企業の収益分配の状況を示す重要な指標であり、企業の経営戦略や人材戦略に深く関わるものです。