日本の消費低迷はなぜ?ライフサイクル理論と住宅価格高騰が示すもの日本の消費低迷の真相とは!?
日本の消費低迷、その深層に迫る!ライフサイクル理論で解き明かす消費行動と、持続的な成長戦略。政府の役割、世代間格差、そして将来への提言。
💡 日本の消費低迷は、ライフサイクル理論で説明できます。
💡 政府の消費刺激策は、消費低迷を改善する効果は期待できません。
💡 消費活性化には、住宅市場の活性化と世代間格差の解消が重要です。
それでは、第一章、日本の消費低迷とライフサイクル理論について詳しく見ていきましょう。
日本の消費低迷とライフサイクル理論
日本の消費低迷の理由は?
将来不安によるもの
ライフサイクル理論は、人が一生涯においてどのように消費するかを説明する理論ですね。

✅ 2014年以降、可処分所得が増加しているにもかかわらず消費支出が伸び悩んでいる原因として、生涯所得の減少と不確実性の増大が指摘されています。
✅ 生涯所得は、社会保険料負担の増加や将来の不確実性により、従来より減少傾向にあると考えられます。
✅ 消費支出を拡大させるためには、生涯所得の減少傾向を抑制し、将来への不確実性を減らす政策が必要となります。具体的には、社会保険料負担の軽減、雇用環境の改善、年金制度の改革などが挙げられます。
さらに読む ⇒ シンクタンクならニッセイ基礎研究所 出典/画像元: https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65484&pno=2?mobileapp=1&site=nliなるほど、将来への不安感が消費を抑制しているということですね。
日本の消費は11カ月連続で減少しており、特に勤労者世帯の落ち込みが大きい。
経済学のライフサイクル理論では、消費は生涯可処分リソースに基づいて決定され、消費の変動を嫌う人間の性質が反映されている。
日本の消費行動は、ライフサイクル理論と整合的な傾向を示しており、消費低迷は将来の所得に対する悲観的な期待が影響していると考えられる。
おい、若い衆!もっと経済の話を分かりやすく説明しろよ!
消費拡大に向けた政府の役割
消費刺激策は効果的?
長期的な所得増加が重要
政府は、消費を活性化させるために様々な政策を検討しているんですね。

✅ 岸田政権は、世界経済のインフレと円安による国民負担増加を受けて、所得税減税など総額5兆円規模の家計還元策を検討しています。
✅ 所得減税よりも消費減税の方が経済効果が高く、特に食料品など物価上昇が激しい分野の消費税率引き下げは有効ですが、政治的なハードルが高いです。
✅ 増税イメージを払拭するためには、一時的な減税よりも、インフレによる恒常的な税収上振れを活用した防衛増税の撤回や、消費税10年上げずの約束を守る方が効果的です。
さらに読む ⇒第一生命経済研究所TOPページ出典/画像元: https://www.dlri.co.jp/report/macro/285669.html消費減税は確かに効果的ですが、政治的なハードルが高いというのが現実ですね。
政府による消費刺激策は、生涯可処分リソース全体に影響を与えにくいため、効果は期待できない。
消費を拡大させるためには、持続的な所得の増加が必要であり、インフレを上回る賃上げが有効だが、長期的視点での経済成長が重要となる。
政府は、消費を直接的に増やすことは難しいが、税や給付金による再分配政策を通じて、世帯間での資源配分を改善し、消費水準に間接的に影響を与えることが可能である。
消費税減税は、景気刺激には効果があるけど、財源はどうするんだ?
コロナ禍後の消費停滞と住宅価格高騰の影響
コロナ禍で消費は回復してる?
停滞中
コロナ禍の影響が、消費支出に大きく出ているんですね。
公開日:2024/05/11

✅ 2023年度の家計調査によると、1世帯あたりの月平均消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年度比3.2%減少し、3年ぶりの減少となりました。これは、消費税率引き上げの影響を受けた14年度、コロナ禍の20年度に次ぐ下げ幅です。
✅ 消費支出の減少は食料、住居、光熱・水道など、すべての項目で確認されました。これは、資源高や円安による値上げが消費者の節約志向を高めたためと考えられます。
✅ 一方で、3月の消費支出は前年同月比で実質1.2%減と、減少幅は市場予測よりも小さくなりました。外食や自動車購入、ガソリンなど、外出に関する支出が増加しており、消費は緩やかに回復傾向にあると考えられます。
さらに読む ⇒読売新聞オンライン : ニュース&お得サイト出典/画像元: https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240511-OYT1T50008/確かに、食料品やエネルギー価格の上昇は、家計にとって大きな負担です。
コロナ禍以降、勤労者世帯の消費が停滞しており、特に裁量的消費の回復が鈍いことが課題となっています。
消費行動の変化により、衣料品や交際費などの支出が減少しており、年収上位40%の世帯で平均消費性向の落ち込みが目立っています。
特に、住宅ローンを抱えていない世帯の消費が停滞しており、首都圏における住宅価格の高騰が影響し、住宅購入を控えている世帯の節約志向が強まっている可能性が指摘されています。
うちも食費が去年よりかなり上がって大変なのよ。
消費活性化に向けた住宅市場と世代間格差の課題
日本の住宅市場の課題は?
新築偏重と消費停滞
就職氷河期世代の住宅取得の難しさ、これは深刻な問題ですね。
公開日:2024/01/05

✅ 就職氷河期世代(1974〜83年生まれ)の40代において、184万世帯が「一生持ち家なし」の意向を持っていることが明らかになりました。これは、経済的な理由で持ちたくても持てなかった層が大きく、バブル世代と比較して約2.5倍の割合となっています。
✅ 氷河期世代は、実質賃金が他の世代より低く、貯蓄が少ない一方、マンション価格は高騰しており、住宅取得のハードルが高い状況です。バブル世代が年収の6〜7倍でマンションを購入できたのに対し、氷河期世代は年収の9〜10倍の価格帯で購入を強いられています。
✅ 氷河期世代がシニアになる前に、住宅問題を社会課題として捉え、対策を講じる必要があると専門家は警鐘を鳴らしています。具体的には、高齢者に対する賃貸住宅入居の差別をなくすための制度整備や、空き家を活用した低価格住宅の供給などが考えられます。
さらに読む ⇒Business Insider Japan|ビジネス インサイダー ジャパン出典/画像元: https://www.businessinsider.jp/article/280205/中古住宅市場の活性化は、住宅問題の解決に繋がると思います。
この状況に対応するためには、中古住宅市場の活性化による新築偏重の傾向緩和が重要となります。
具体的には、中古住宅の適正評価による住宅ローン借入環境の改善などが挙げられます。
さらに、世帯消費の低迷は、就職氷河期世代(40~50代)の消費停滞にも起因しています。
一方、1980年代生まれは、共働き世帯の増加により世帯全体の所得は高水準にあるものの、消費水準が世帯主の収入に左右されやすい傾向があります。
そのため、リ・スキリングなどによる収入増加のための支援が引き続き求められます。
氷河期世代は、これからさらに苦しくなるぞ。住宅問題を放置すると、社会不安につながるぞ!
消費活性化に向けた今後の展望
消費活性化にはどんな政策が必要?
貯蓄から投資へ推進
投資を促進することで、消費も活性化するという考え方は、納得できます。

✅ 岸田政権は今年を「資産所得倍増元年」とし、「貯蓄から投資へ」のシフトを促進するため、NISAの抜本的な拡充とiDeCoの加入可能年齢引き上げなど、投資を促進する政策を実行していく。
✅ NISAの非課税限度額を大幅に引き上げ、既存のNISA口座に新たなNISA口座が自動で開かれるなど、個人投資家の投資を促進するための施策を講じる。
✅ 政府は、金融経済教育の充実や信頼できるアドバイスの提供など、投資促進に向けた総合的な取り組みを進めることで、家計の資産形成を支援し、企業価値向上による家計への恩恵還元、さらなる投資や消費促進につなげる好循環の実現を目指す。
さらに読む ⇒首相官邸ホームページ出典/画像元: https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/discourse/20230630contribution.html政府は、投資を促進する政策を進めることで、経済の好循環を目指しているんですね。
消費活性化のためには、「貯蓄から投資へ」の推進による資産・所得増加も重要な施策となります。
大和総研は、長年の知識・経験を基にした的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していきます。
投資って、リスクもあるからなぁ。でも、将来のために、やっぱり投資は必要だね。
本日は、日本の消費低迷について、様々な角度から分析させて頂きました。
💡 日本の消費低迷は、ライフサイクル理論で説明できる。
💡 消費活性化には、政府の政策だけでなく、個人の意識改革も重要。
💡 住宅市場の活性化と世代間格差の解消は、消費活性化の鍵を握っている。